「ゲルマニア」は古代ゲルマン民族についての最古の記録であり、まさに帝政ローマをおびやかさんとする民族について、その質素剛健で勇壮な姿をえがきだしている。筆者はタキトゥス。ネルヴァ・トラヤヌス帝時代の大歴史家であり、共和主義者。抑制的ながら鋭い筆致はまさに名人芸だ。ただしティベリウス帝に対しては点が辛い。
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「ゲルマニア」タキトゥス
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「ペスト大流行」村上陽一郎
「ペスト」といわれてまずぼくの頭に浮かんでくるのは、身体にできた黒い斑点におびえる人々でも、医師たちの奇妙なマスクでもなく、ホドロフスキーの映画「リアリティのダンス」の1シーン――ぼろぼろの黒い服を身に纏い、黒い傘をさしたペスト患者の集団が山をくだって街へと行進してくる――というシーンだ。