フレイザー卿の「金枝篇」は、神話・呪術・宗教をめぐる壮大な書物である。そして、この本のどこがいけないかというと、あまりにもカッコよすぎるところだ。正確な研究書というのは往々にして泥臭く、深い滋味はあるけれどもあからさまなカッコよさはない。その点、金枝篇は「本からできた本」「安楽椅子の人類学」というそしりを免れえない。
宗教
文化
ミカドの禁忌――「金枝篇」より
文化
去勢とテクスト――スコプツィを通じて
西洋は伝統的に「書かれたテクスト」を重要視してきた。書かれた法にしたがうことを受け入れ、それ以外の儀礼によって編まれるものは排除される。……というと唐突に聞こえるかもしれないが、この「テクストへの準拠」というのは現代人にもおなじみのものだ。