書評

パラノイア 【トラブルシューターズ】

…昔の専制君主は『汝、なすべからず』と命じた。全体主義の命令は『汝、なすべし』だった。われわれの命令は『汝、これなり』なのだ。

「創作人物の名前について」夢野久作

小説を書こう、物語をつくってみようとしたときに、最初に困るのは登場人物の名前をどのように決めるかということだろう。ぼくも小説みたいなのを書いてみたことはあるが、小説を書き出さないうち、名前を決める段階でウンウン悩んでいることは多かった。

「競走馬の科学」

競馬がけっこう好きだ。はじめて見た日本ダービーは2016年(マカヒキ)で、サトノダイヤモンドとの壮絶な叩きあいを記憶している。 あと場所柄、宝塚記念を見にいくことが多い。マリアライトがキタサンブラックとドゥラメンテを差し切ってぼくの馬券が紙くずになったり、ミッキーロケットが第4コーナー回ってきてすごい迫力で早め先頭に立ったかと思ったらおまけに香港のワーザーなんか来ちゃってぼくの馬券が紙くずになったりしたことが思い出ぶかい。

「ドグラ・マグラ」夢野久作

はじめにことわるまでもないが、この文章はドグラ・マグラの完全な解説を意図したものではなく、むしろ読者に対する案内を意図したものである。

「クマにあったらどうするか」姉崎等・片山龍峯

この本の語り手・姉崎等さんは、生涯で60頭以上のクマをしとめた狩人である。アイヌと日本人の混血であることから狩猟を教えてもらえず、クマの歩いたあとを通ってがむしゃらに山に入っていくことで山歩きを、狩猟をおぼえたというから驚きだ。

「ソラリス」スタニスワフ・レム

ぼくが「ソラリス」をはじめて手にとったのは大学の図書館で、「水に関する本特集」コーナーにおいてあったからだと記憶している。今にして思うと「ソラリス」を水特集におくのはかなりの拡大解釈だが、おかげさまでこの本を手にとることができたわけである。

「ペスト大流行」村上陽一郎

「ペスト」といわれてまずぼくの頭に浮かんでくるのは、身体にできた黒い斑点におびえる人々でも、医師たちの奇妙なマスクでもなく、ホドロフスキーの映画「リアリティのダンス」の1シーン――ぼろぼろの黒い服を身に纏い、黒い傘をさしたペスト患者の集団が山をくだって街へと行進してくる――というシーンだ。

「毒薬の手帖」澁澤龍彦

澁澤龍彦はフランス文学者であり評論家であり小説家で、黒魔術を、秘密結社を、殺人を、エロティシズムを語ったかと思えば後年には日本文化に"帰還"した。ぼくはとらえどころのないこのひとがとても好きだ。

「バベルの図書館」ボルヘス

「バベルの図書館」は、すべての本が収められた図書館についての10ページほどの物語である。

「ルトワックの“クーデター入門”」エドワード・ルトワック

クーデターは、革命や内戦と似ているが、必ずしも大衆の蜂起や大規模な戦闘を必要としない点で異なっている。クーデターは、国家機関の中の小規模でも決定的に重要な部分への浸透によって成り立つ。