評論

9/11・ヴェイパーウェイヴ・冷戦

21世紀に幽霊が出る――ノスタルジアという幽霊である。存在しない過去に対する憧憬は何よりもうつくしい。それは過去にありながら(しかもほんとうに存在したかさえわからないのに)、魅力的な未来を生成する。「あの出来事さえなかったら、いつまでも楽しかったのに」と。その出来事は、たとえば、9月11日に起きた。

服装によって自分が何者であるかを悟られたくない

人に「なんで服なんか着るんですか? 」と真面目くさった顔をして聞いてみれば、その返答はおおかた「裸で歩いてると捕まるから」「変な人だと思われるから」といったようなものになるだろう。つまり、衣服は物理的な便宜をはかるためだけに着られているのではなくて、つねに何らかの意味をもっている。

去勢とテクスト

西洋は伝統的に「書かれたテクスト」を重要視してきた。書かれた法にしたがうことを受け入れ、それ以外の儀礼によって編まれるものは排除される。……というと唐突に聞こえるかもしれないが、この「テクストへの準拠」というのは現代人にもおなじみのものだ。

オタクについて語るときにわれわれの語ること

ところで、あなたはオタクだろうか。そもそもオタクを定義することはむずかしいし、ゼロ年代ごろとは状況が大きく異なっていて、「オタク像」というものが正体をうしない、拡散しつつあるのでこれは更に難しくなっている。果たして、このようなものの全体について語ることなどできるのだろうか。

エドワード・ホッパーの作品について

ぼくはエドワード・ホッパーの作品を見るとき、その脱臭されたセクシュアリティをどうしても嗅ぎつけてしまう。彼の作品にはいつもヒリヒリするような孤独感が漂っている。それは作中に性的な示唆があっても変わることがない。たとえば、「Office at Night(夜のオフィス)」を見てみよう;